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Happy Rich - 我、今、ここに、生きる -

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投資の王道

「投資の王道」と言う言葉を初めて見たのは、木村剛著の「投資戦略の発想法」であった。

というより、それまで投資というものを積極的に考えたことも無く、自社株購入制度により、ほそぼそと自分が勤めていた会社の株を10数年買い足してきただけの経験しかなく、投資そのものに関する書籍を読んだこともなかった。

そしてある時、投資を自分の生涯目標にとって重要なものとして意識しだしたときに読み出した本の一つが上記の本であったのである。

それでは木村氏の言う「投資の王道」とはなにか、をまとめてみたい。

はじめに、この考え方の根幹となる前提条件を説明する。

まず、ここで言う彼の「投資」とは、一般の家庭人の「投資」であって、決してプロの投資家のやる「投資」ではない。

なにが違うかと言うと「時間軸」である。プロの投資家というものは「投資」を生業としている。勢い、それで生活しているがために、短期的にパフォーマンスを上げなければ食えないし、客も付かない。

対して、一般の家庭人として投資は、このプロがやろうとしてもできない「時間を味方にする」ことができる。

これが、我々素人がプロに勝てる、唯一最大の武器なのである。

情報量、スピード、どちらをとっても、これで飯を食べている何万人ものプロ、それもシステム化されたインフラを有するプロに、我々素人がいくらがんばっても勝てるはずはないのだ。

しかし、その中でもこの「時間」だけは、プロのプロたる宿命として、短期の視点でしか勝負できず、特に期や年度をまたがるところでも悠然と構えている素人の真似をするわけにはいかないのである。彼らは定期的に「結果」を出さなければならないのだ。

したがって、必然的に、彼の言う「投資」とは、短期的な収入を狙うものではなく、あくまでも「資産形成」を目的としたものである。

まちがっても、一攫千金や投資からの収入で生活しようなどとは考えてはいけない。「投資」は「投機」やギャンブルではないのである。

コンセプトはあくまで”Grow rich slowly"なのだ。


また、「投資」を考えるにあたって、欠かすことのできない考え方として「危機管理」をあげる。

会社で、仕事として投資をしている場合は、いくら損失を出しても最悪、会社を首になるぐらいのものであるが、素人の我々がこの危機管理の視点を忘れて投資を行うことは、最悪、生活の崩壊、ひいては自殺するところまで自分を追い込みかねない。

ここまでがいわゆる前提条件であるが、こういった前提で彼が言う「投資」の王道とはなにかを見なければ、なにを言っているんだ、と言う世界になってしまう。ここはそれほど重要なのだ。

それでは、彼の「投資の王道」とは何かというと概略次のようになる。

1.自分のバランスシートを作りなさい
 自分の資産と負債の状況さえ把握できてない、あるいはできない人に、投資をやる資格はない、と説く。

2.家計を知る
 人はその家庭の社長である。社長が、自分の会社の収支状況もわきまえず、次々に投資をしてゆくことなどありえない。
まず、家計簿をつけ、自分の会社(家庭)の収支状況をつかむことが必須であると説く。またこれは次項の生活防衛資金の基礎となる。

3.生活防衛資金をためる
 前提に書いたように、重要な視点は危機管理の視点である。投資で間違っても現在の生活に直接影響があるようなことがあってはならない。これを避けるためのリスクヘッジとして、最低2年分、できれば3年分の生活防衛資金(職を失っても家族が路頭に迷わない、最低限の費用)をまずためなさい、これが貯まる前に、間違っても投資に手を出してはいけない、と説く。もし、やれば、パフォーマンスが悪い時に待つことができず、始めにいった「時間」を味方にすることもできず、即座に生活に影響してしまうことになるだろう。素人が株で失敗する要因の大半がこれである。

4.仕事をポートフォリオの中核に置く
 今現在している仕事を徹底的に深堀する。元金0で、何百万円の収益を上げられる投資などこの世の中にはなく、仕事からの収入ほど効率の良い投資は他にはない。その意味で、自己投資は重要である。

5.節約は最大の投資
 自分のやり方次第で確定したリターンが得られる、しかも5%、10%のリターンを得られ、生活防衛資金の形成に貢献し、さらに、上述した生活防衛資金の最低必要額の圧縮にもつながる一石三鳥の投資である節約。これができない意志力では、投資の世界で要求される意志力には絶対的に不足なので、投資をすることはあきらめなさい、と説く。

6.分散投資、長期保有
 1~5ができて初めて、投資を具体的に始めるが、前提で書いたように時間を味方にする、それと同時にポートフォリオの考え方でリスクを分散することを目的に、分散投資をしなさい、と説く。

この6.の分散投資、長期保有の考え方を「絶対負けない投資戦略」として本書の後半、「投資理論」「投資戦略」「財産防衛術」として解説して行っている。

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私の場合、投資を勉強し始めた状況が状況であったため、いままで距離を置いていた投資の世界が一気に身近になったと同時に、その堅実な考え方、そして危機管理意識の必要性など、ほんとうに自分が求めていた考えとしっくり来た。

この本のあと、「ウォール街のランダムウォーカー」などの名著と呼ばれる投資本を読んでみたが、こと株式投資に関しては、彼の掲げる「王道」が「王道」たることを再確認したのである。

「Grow Rich Slowly」

そして

「時間を味方につける」

ことを肝に銘じ、決してあせらないこと。そして全ての成功本に共通している真理、すなわち

「自分の敵は環境変化ではなく、自分自身であり、自分の意志力である」

こともまた、意識して投資をしてゆきたいと考えている次第である。


☆最後に、

もし前提条件が違う、つまり「投資」の目的が「財産形成」ではなく、ほかの事、たとえば投資を通じで社会や経済を勉強したい、あるいはギャンブルの一種と考え、その緊張とスリルを味わいたい、損を覚悟で、万一の一攫千金を狙いたい、というのであれば話が全く別である。
世の中にあふれるマネー雑誌を読んで勉強し、有名なファイナンシャルプランナーや投資のプロと言われる人の話を聞いて参考にし、自分の知識と勘と、運を確かめてみるのもいいかもしれない。





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